私は過去に25年間SEとしての経歴があり、それなりのIT知識があるつもりだが、そういう人間としてTikTokは「超ヤバイ」ために決して関わることはなかった。
最近になって、そのヤバさが世界的に広まりつつある中で、まだお気楽にティックタックしていると酷い目に遭う可能性があることを解説する。
◆手を出さない理由
そもそも私が周囲の人々がTikTokに夢中になっても絶対に手を出さない理由としては、まず「中国発祥」だということがある。
且つ、「中国政府」が絡んでいるということ。
TikTokは、元々は2016年9月に中国市場でリリースされたSND「抖音」の国際版だった。
2017年には、中国本土以外のほとんどの市場で提供開始された。
2018年8月2日に別の中国のソーシャルメディアサービスMusical.lyと合併してからは、世界中に広まった。
◆中国製だとヤバイの?
まず、中国製だとなぜヤバイのか。
彼の国では「国家情報法」の存在がある。
企業や個人は、国家の要請によってあらゆる情報を提供する義務がある。
このため、国によっては国家安全保障やプライバシーの懸念から使用を制限している。
米国のポンペオ国務長官は「利用すれば、個人情報が中国共産党の手に渡りかねない」と発言している。
◆世界のユーザー数
TikTokの月間アクティブユーザー数は全世界で10億人以上といわれていた。
この数は2021年9月時点での数字で、今では15億人を超えたのではないかとも言われる。
現在の世界人口は、推定で80億人と思われる。
世界で5人に1人は「TikToker」ということになる。
では、日本ではどのくらいの利用者がいるのか。
ある機関の2022年11月時点の調査では、日本では約1700万人のユーザーがいるという。
日本でも芸能人など著名人の間でもTikTokerが多いので、こういった人々がインフルエンサーになっているということも一因としてあるのかもしれない。
◆セキュリティ上の問題点
最近になって、TikTokのヤバさが露呈されてきた。
たとえば、2022/08/20にオーストリア在住のセキュリティ専門家、フェリックス・クラウズ氏が公表した内容によると、TikTokは危険性があるという。
iPhoneなどApple社製品用のOS「iOS」版のTikTokで、アプリ内のリンクや広告などから外部のWebサイトを閲覧する際に、利用者が入力した文字情報などを把握できる仕様になっていた。
Webサイトと通信している間、パスワードやクレジットカード情報などを含む全てのキーボード入力情報などが受信されているという。
2022/11/02には、TikTokがヨーロッパのユーザー向けのプライバシーポリシーの更新を発表した。
これにより、中国の企業がTikTokのデータにアクセスできることが明示された。
このことで、「TikTokが中国のスタッフにユーザーデータへアクセスさせていることを認めた」と報じられている。
◆米国の動き
米国では、国家レベルでTikTokの利用制限が始まっている。
2022/11/16付Bluembergによると、米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、11/15に、FBIに以前からある国家安全保障上の懸念をあらためて表明した。
同長官は米下院国土安全保障委員会で、数百万人のユーザーデータやソフトウエア管理目的で中国政府がこのアプリを利用する恐れがあり、 ユーザーが次にどの動画を視聴するかを決める推薦アルゴリズムは、「中国政府が影響力作戦を選択した場合に利用されかねない」と語った。
そして最新の報道では、米国の超党派議員グループが、国内でのTikTokの営業を禁止する法案「ANTI-SOCIAL CCP Act(反社会的中国共産党法)」を議会に提出した。
その背景には、TikTokを運営している中国企業のByteDanceが中国政府にユーザーのデータを引き渡すことに対する懸念がある。
そして昨日12/16のForbesの報道では、米国上院は12月14日、連邦政府が所有するすべてのデバイスで、「TikTok」アプリの利用を禁止する法案を全会一致で可決した。
◆もう遅すぎる?
TikTokユーザーの皆さんは、すでに個人情報が中国政府にバレバレかもしれない。
果たして、そのような危険を冒してまでしてやりたいSNSなのだろうか?
日本人あるあるで、「みんながやってるから」自分もやるという人が多い。
だが私は逆に、「みんながやってるからやりたくなくなる」という天邪鬼だ。
この件に関しては、元SEとしての知識と経験があったことと、その「天邪鬼」さが幸いしたと言えるかもしれない。
もっとも、それはまだ結果論ではなく、本当にTikTokが「ヤバイ」アプリだということになればの話だが。
私は自分の考えを人に押し付けることを好まず、ここに書いたことも、もちろん読む方々の判断に委ねている。
どんなことでもそうだが、与えられた情報を自分で「探求」して自分のものにするかどうかの判断が大切だろう。
※子供たちにはこういう本も大切だな。
読む価値があるかどうか、あとで内容を吟味してみる。